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『ポケモンカードゲーム企業対抗戦』レポート─名刺交換から始まる白熱バトル

2018/12/18

esports port 編集部

 

2018年12月16日(日)、『ポケモンカードゲーム(以下、ポケモンカード)』初の試みとなる、企業対抗戦が行われた。大いに盛り上がった本大会の様子をお伝えする。

 

 

なぜ今、『ポケモンカード』が空前のブームを迎えているのか
 

 

まずはじめに、『ポケモンカード』について簡単に説明したい。『ポケモンカード』はその名の通り、人気ゲーム『ポケットモンスター』の世界観を多彩なイラストで表現した、シンプルながらも奥深いルールを持つトレーディングカードゲーム(TCG)だ。

 

1996年の発売以来、20年以上に渡って多くのユーザーに愛されている『ポケモンカード』は、国産のTCGとしても最古の歴史を持っており、これまで一度は見たことや遊んだことがある方も多いだろう。しかし、そんな『ポケモンカード』が今、空前の大ブームを迎えていることはご存知だろうか。

 

 

ブーム到来の背景は様々だが、もっとも大きな要因は、2018年7月に発売された「GXスタートデッキ」の存在だ。
『ポケモンカード』初心者でもこれさえ購入すれば対戦が楽しめるようになっている本製品は、価格が500円(税別)と非常にリーズナブルなこともあり、多くのプレイヤーが『ポケモンカード』に触る切っ掛けを作った。

 

従来のTCGは、対戦を行うためのデッキを作る必要があった。デッキ構築はTCG最大の魅力であることは間違いないが、それ自体のハードルが高いこともあり、カードゲームとしての面白さを感じる前にユーザーが離れてしまうという課題を長年抱えていたように思える。「GXスタートデッキ」の登場により、ユーザーに対戦そのものの魅力をダイレクトに伝えることに成功したのだ。

 

さらに『ポケカ』は他のTCGとは異なり、「ピカチュウ」や「リザードン」といった「ポケットモンスター」好きであれば誰でも知っているキャラクターが多数登場していることも大きな特徴だ。“馴染みのポケモンが描かれたカードゲームが、安価で手軽に体験できる”という状況が、冒頭に述べた熱狂的なブームへと繋がっているのである。

 

 

 

総勢80社がエントリーした、『ポケモンカードゲーム企業対抗戦』

 

さて、話を本題に戻そう。『ポケモンカード』の企業対抗戦が行われた当日には、ゲームやTCG業界に関わらず、合計80社もの企業が名を連ねた。企業リストは公式サイトに掲載されているので、ぜひご覧頂きたい。

 

【「ポケモンカードゲーム 企業対抗戦」公式サイト】

 

https://www.pokemon-card.com/ex/article/fight-company/index.html

 

 

本大会は1チーム、2〜4人での参加となる。参加者は『ポケモンカード』初心者から公式大会の出場経験がある猛者まで幅広かったが、それぞれの習熟度を示すシールが用意されており、比較的近い腕前同士で対戦がマッチングされるよう配慮されていた。

 

 

いよいよバトル開始である。大会は、各チームのメンバーが個人でバトルを繰り返して、それぞれに配布されたチップを制限時間以内に争奪する予選からスタート。チップを賭ける枚数は対戦者同士で自由に決めることが可能で、1枚づつ手堅く攻める方もいれば、いきなり多数のチップを賭けて大量獲得を目指す方もおり、序盤からチーム毎の思惑が交差する幕開けとなった。

 

今回は企業対抗ということもあり、対戦を始める前に相手と名刺交換を行うというユニークな光景が、いたる所で見られた。会場もオシャレで落ち着いており、対戦は真剣勝負でありながらも全体的に和やかで、大人の社交場といった雰囲気が感じられる空間である。

 

 

ところが、予選の制限時間終了が迫ると会場の空気は一変。一発逆転を狙って、持っている全てのチップを賭ける“大一番”が各テーブルで繰り広げられ、その結果に一喜一憂の大騒ぎとなった。中間発表の段階で上位と報じられていたチームですら、自分たちも大勝負に打って出るべきか、それとも守勢に回るべきかといった難しい決断を迫られるようになり、予断を許さない状況が続く。

 

通常、『ポケモンカード』の大会はシンプルに勝ち星を積み重ねていけば優勝というシステムが多く、本大会のルールはいわば変則的であった。それでも参加者たちはこのルールの肝を理解し、残り時間ギリギリまで熱い駆け引きを楽しんでいたように思える。

 

 

 

なお当日は、筆者もこの大会に参加していた。我々のチームは、筆者を含む『ポケモンカード』経験者2名と、ほぼ始めたばかりの初心者1名の3人チーム。そこまで細かな戦略は決めていなかったが、「チャンスが来たら全てのチップを賭けて大勝負を挑もう」とお互い誓い合い、それぞれの戦いへと挑んでいった。

 

結果、経験者であるチームメイトは順調に大量のチップを集めたものの、最後の大一番に敗れてしまい、すっからかんでフィニッシュ。初心者だったメンバーもバトル自体は健闘していたが、惜しくも勝ち星には繋がらずチップ0枚に。そして筆者自身も連敗を重ねてチップを減らし、残り1枚にまで追い込まれてしまった。

 

予選終盤、筆者は同じく残り1枚のお相手と対戦することとなる。残り時間を考慮するとこれがラストだろう。このチップの行方が全体に与える影響は軽微だろうが、気持ち的にはなんとしても勝ちたいところである。 

 

お互いに死力を尽くした対戦はもつれにもつれ、最終的には運も味方し、筆者が勝利した。最後にバトル場に立っていたのは、筆者の最も好きなポケモンである「ダーテングGX」。
相手と自分が持っている手札の枚数が同じ時だけ大ダメージを出せるトリッキーなワザ、「じんつうりき」が成立しての勝利だった。 

 

 

当日、この技が決まったのはこれ一度きり。やはり、好きなポケモンが活躍するのは嬉しい。
だから『ポケカ』は止められない。
個人的な話で恐縮ではあるが、これはこれで最高に盛り上がる対戦だったことを書き記したい。

 

 

 

“弱点”と“環境”が『ポケモンカード』の競技性を高める

 

 

ここでひとつ、もう一歩踏み込んだ『ポケモンカード』の魅力をお伝えしよう。原作であるゲーム版の『ポケットモンスター』には、“火のポケモンは水に弱い”といった相性が存在するが、その特徴は『ポケカ』にもしっかりと取り入れられている。『ポケモンカード』に登場するほぼ全てのポケモンには弱点が設定されており、弱点を突かれると2倍のダメージを受けるのだ。 

 

この2倍という倍率は、『ポケモンカード』において相当大きい。端的に言ってしまえば、相性の悪い相手とは相当不利な戦いを強いられることになる。そのため、不特定多数の相手と連戦する大会では、どの属性のポケモンを主力にするかが、非常に重要な選択となるのだ。

 

 

今、巷でどのポケモンを主力にしたデッキが流行っているのか。『ポケカ』プレイヤーの間では、このような情報を「環境」という言葉で表現することが多い。例えば今回の企業対抗戦では、12月7日に発売されたばかりの新拡張パック『タッグボルト』に収録された新たなポケモンを使う参加者が多いのではないかという予想があった。その中でも「ピカチュウ&ゼクロムGX」というカードは、(倒された時のデメリットが大きいものの)これまでにない規格外の能力を持つため、優勝を目指すのであればマークすべきポケモンであった。

 

 

そんな「ピカチュウ&ゼクロムGX」の弱点は、闘属性である。つまり、大会で多く当たるであろう「ピカチュウ&ゼクロムGX」に有利な闘ポケモンのデッキを作れば、有利に事が運べるという仮説が成り立つ。

 

ところがそこに、闘ポケモンを狙ったプレイヤーも出現するのだから、事態は複雑になってくる。多くの闘ポケモンの弱点は超属性だ。さらに、超属性のポケモンは悪属性が弱点(一部を除く)であり、悪属性のポケモンは闘属性に弱いことが多い。まるでジャンケンのグー・チョキ・パーのように相性がループしているのである。もちろん、環境には他の属性も多数おり、対抗馬がお互いに潰しあった結果、本命がそのまま勝ち残ることも往々にしてあり得るのだ。

 

 

また『ポケモンカード』には環境を意識せず、自分の好きなポケモンを中心にしてデッキを組むプレイヤーも少なからず存在する。誰も予想しなかったようなデッキがスルリと勝ち残って話題に上がることも多い。どんなデッキを持って大会に臨むか。こうした競技性の深さも、『ポケモンカード』の魅力のひとつと言えるだろう。

 

 

 

雌雄が決した、運命の決勝トーナメント

 

 

大会前半の予選が終了し、チップ総量の多かった上位8社が決定。ここからはトーナメント形式で試合が進行していくことになる。トーナメントはチーム内の誰か1人が出場できるが、同じ参加者の連戦はルールで禁止されていた。つまり、チームのエースを出すタイミングや、相手との属性相性が非常に重要であり、組み合わせが発表された瞬間から、各チームがどのような戦略を選ぶのかに注目が集まった。

 

いざ決勝トーナメントが始めると、どの組み合わせも非常に白熱したバトルに。中には、「まだまだ『ポケモンカード』を始めて間も無い」と話す参加者もいたが、見事な戦いぶりとカード捌きを披露していた。

 

 

最終的に優勝したのは、株式会社リップルコミュニティのチーム!代表の山口さんは表彰式にて「チームメンバーに支えられながら、優勝できて凄く光栄」と述べ、さらに本大会にボランティアとして参加したジャッジの方々に対しても「その精神を見習わなければ」と語り、会場からは自然と拍手が巻き起こった。

 

 

最後に『ポケモンカード』の開発を行っている株式会社クリーチャーズのゲームディレクター、長島敦氏が「ポケモンカードは競技として楽しめるよう作っているが、それと同様に、気楽に楽しめるようにもしている。今日は会社の同僚という、一番身近な方とポケモンカードを楽しんで頂けたことを非常に嬉しく思う」とコメント。さらに「もし次があれば、おそらく最強であろうクリーチャーズも参戦できたら」と結び、会場からは「おぉ〜…」という声が上がった。

 

 

表彰式が終わると、その場で懇親会がスタート。参加者は全員成人ということもあり、オシャレな料理やお酒が振舞われた。会場のあちらこちらで名刺交換が行われる様子は大人の社交界そのものだが、飛び交う話は「ポケットモンスター」に関する話題がほとんど。それはまさに、ポケモンが世代を超えて愛されていることを象徴するかのような光景であった。

 

 

こうして、大盛況の中で閉幕した『ポケモンカードゲーム企業対抗戦』。参加者からも次回開催を望む声が多く上がっており、改めて「ポケットモンスター」の人気と、カードゲームとしての高い完成度を実感させられる時間となった。爆発的に競技人口を増やし続ける『ポケカ』が、今後どのような感動とサプライズを我々に届けてくれるのか。これからも期待したいところだ。

 

 

 
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