esports port編集部が選ぶ「DCG」ゲーム5選

2019.04.18

esports port編集部が選ぶ「DCG」ゲーム5選

インターネットを介した対戦型ゲームが大きく盛り上がりを見せ始めてきた昨今。一部では熱狂的に愛好され続けている「トレーディングカードゲーム(TCG)」もとうとう時代に合わせた進化を遂げた。それが「デジタルカードゲーム(DCG)」だ。

家庭用/携帯用ゲーム機において、カードゲームを取り扱ったビデオゲームは古くから存在する。
しかし、esports時代のDCGはそれらとは一味違う。DCGはネットワークによるラグの影響をほぼ受けず、ものによってはスマートフォンなどでもプレイすることができるため、非常にesports適正が高いと言える。
その結果、広いユーザー層から人気を集めることに成功しているのだ。一回のプレイ時間も短く、参入障壁の低いDCGの世界に挑んでみたい新規プレイヤーのために、本稿では代表的なDCGを5作品紹介していく。

■『ハースストーン』

ジャンル全体に火をつけ、数多くのフォロワー作品を産み出した代表的なDCG、それが『ハースストーン』である。
DCGの中で最大規模のプレイ人口を誇り、Twitchなどの配信サービスでも人気があるため、これから始める初心者プレイヤーにとって良い環境が整ったゲームと言えるだろう。

PCの他、スマートフォンやタブレットなどでもプレイ出来るので導入も非常に簡単だ。
一試合にかかる時間もかなり短いので、移動中や「ながらプレイ」にも適している。「拡張」と呼ばれる新カード追加のペースもなかなかのもので、長くプレイしていても新鮮さを失うことはないが、
「数ヶ月ぶりに復帰したら自分のデッキが使えなくなってしまっていた」というようなことも起こる。課金せずともカードを集めることはできるが、そのためにはかなり根気よくプレイをしていくことになる。これは他のDCGにも当てはまることなので、留意していただきたい。

 ルールは既存のTCGと比べるとかなりシンプル。なおかつ運要素が高いため、初心者でも充分に勝利を狙うことができる。
といっても、もちろんやりこんでいけばプレイングミスもなくなり「勝率」はどんどん上がっていくので、「運」と「実力」のバランスは非常によくとれている。
TCGファンにはおなじみのドラフトに相当する「闘技場」や、特殊ルールが入れ替わり立ち替わり現れる「酒場の喧嘩」などプレイのバリエーションも広い。
DCGをプレイしたことがないプレイヤーが最初に遊んでみるべき一作なのは間違いないだろう。

■『シャドウバース』

日本国内で強い人気を集めているのが『シャドウバース』だ。『神撃のバハムート』というソーシャルゲームの世界観を下敷きにしているという性質上、既存のesportsとはかなり違うプレイヤー層を持っており、独特の文化を形成しているのも特徴だ。

こちらもPCやスマホ、タブレットなど端末を選ばずプレイできる。ルールはハースストーンと同じく、交互にターンをおこない、フォロワーを召喚して攻撃したり、スペルやアミュレットでフォロワーを支援したりする形式なので、どちらかのゲームが得意であれば、もう片方に乗り換えるのは非常に簡単だろう。
『シャドウバース』には「進化」などの独自要素もあり、日本人好みの美麗なアートワークなど『ハースストーン』には無い魅力も数多く持ち合わせている。演出も派手で、盤面をダイナミックに変化させるようなカードも多いため、独特の爽快感があるのも特徴だ。

ドラフトに相当する「2Pick」やゲーム内大会の「グランプリ」など、遊び方の幅も広くスキがないと言える。無課金でもカードを揃えることは可能だろうが、こちらもかなりの根気が必要だろう。
人気作品とのコラボなども行われており、魅力的なスキンも多いので、グラフィックや世界観にこだわる新規プレイヤーに特にオススメの一作と言えるだろう。

■『マジック:ザ・ギャザリング アリーナ』

前述の通り『ハースストーン』の登場以降世界的に人気を博しているDCGに、とうとう本家本元、すべてのTCGの元祖とも言える『マジック:ザ・ギャザリング』が乗り込んできた。
それが『マジック:ザ・ギャザリング アリーナ(MTGアリーナ)』だ。
『 マジック:ザ・ギャザリング 』は言わずと知れた、全世界で最も有名なトレーディングカードゲームであり、1993年の発売以降、未だに拡張され、多くのプレイヤーから遊ばれ続けている。

もともと『マジック:ザ・ギャザリング』には『Magic Online』というオンライン版が存在したのだが、少々参入障壁が高かった。しかし『MTGアリーナ』はインターフェイスなどを現代化しており、
またチュートリアルも充実しているので非常に遊びやすくなっている。オフラインで『マジック:ザ・ギャザリング』を遊んだことのあるプレイヤーであれば、プレイの流れはすぐに覚えられるだろう。

ルールは『ハースストーン』などと比べると「相手のターン中にできる行動がある」ため少々複雑だが、その分デッキ構築の自由度などは段違いだ。
競技的にはサイドボーディング(カードの入れ替え)を前提としたBO3(二本先取)が基礎になっているので、一回の試合時間は長い。もともとがTCGということもあって、他のDCGよりかなり本格志向となっているし、残念ながらスマートフォンに対応していないので、じっくりとプレイしたい本格派のプレイヤーに特にオススメだ。
また、『MTGアリーナ』で鍛えたテクニックで本家『マジック:ザ・ギャザリング』に参戦することもできる。

■『ARTIFACT』 

SteamでおなじみValveの数年ぶりの新作として話題を呼んだ『ARTIFACT』だが、本作には『マジック:ザ・ギャザリング』の生みの親であるリチャード・ガーフィールドが開発に参加している。
『ハースストーン』フォロワーのゲームは大まかに『マジック:ザ・ギャザリング』的なルールを踏襲しているが、本作のルールはそれらとはかなり異なる。

『ARTIFACT』は同社のMOBAである『DOTA2』を下敷きにしたカードゲームだ。盤面には三つの「レーン」が存在し、そのうち二つのレーンを制したプレイヤーの勝利となる。
ターン制ではなく、一行動ずつプレイヤーの優先権が移り変わる独特なシステムになっているので、他のDCGに飽きたプレイヤーでも新鮮な気持ちで遊ぶことができるだろう。

これまで紹介してきた3本のDCGはすべてが「基本プレイ無料」だが、『ARTIFACT』はソフトの購入に金銭がかかるため、参入障壁は比較的高い。
カードの入手性の低さや、ランク戦が存在しないことによる「モチベーションの上がらなさ」が問題視され、プレイ人口が大幅に減ってしまったというような事件も起こっている。
しかし、これからの発展には大いに期待できるし、基本的なルールは(複雑ではあるが)非常に面白い。問題視されていた内容も徐々に改善されつつあるので、まだまだ目は離せないゲームであると言える。筆者としては、ドラフトモードを友人間でもノーコストで遊べるのが非常にうれしい。「これから」のゲームに期待をかけたい新規プレイヤーにオススメのゲームだ。

■『グウェント ウィッチャーカードゲーム』

全世界から好評を集めたダークファンタジーRPG『ウィッチャー3 ワイルドハント』の中で遊べる“ミニゲーム”を独立させたという、異色の経歴を持つのが『グウェント ウィッチャーカードゲーム』だ。『ウィッチャー』の世界観を巧みに表現していて、シリーズファンだけでなく新規プレイヤーも惹き付けるほどの魅力がある。しかし本作最大の目玉は、その独特なルールだろう。

今まで紹介してきたDCGはすべて「モンスターを倒し、相手自身のライフを削る」というのが基本的なルールになっているのだが、『グウェント』は少し違う。
お互いが交互に自分の盤面にカードを配置していき、その合計得点を競うのだ。もちろん「対戦」ではあるが、キャラクター/モンスター同士が攻撃し合うような作品とは毛色が違う。
そのユニークな手触りは、むしろボードゲーム的でもある。

現時点ではPCの他にPS4やXbox Oneで遊ぶことができるので、家ゲー派かつDCGを遊びたいプレイヤーには特にオススメな一本だ。スマートフォン版については、2019年内にiOS版での展開が予定されている。
『グウェント』プレイのお供に『ウィッチャー3』をプレイして世界観に理解を深めていくのも面白いだろうし、別売りのストーリーモード『奪われし玉座:ウィッチャーテイルズ』も
非常に評価が高い。「カードゲームはやりたいが対人から始めるのは度胸がない」というプレイヤーは、こちらから入門してみるというのもアリかもしれない。

PCや家庭用ゲーム機、スマートフォン/タブレットでプレイできるDCGには、他のesports系ゲームと比べて見逃せない要素がある。本稿の序盤でも述べた「ネットワークによる回線速度の影響がないこと」、そして「どのプラットフォームで遊んでもプレイフィールに変化はない」ということだ。特に『ハースストーン』や『シャドウバース』といったPC/モバイルのクロスプレイに対応している作品は、ハイスペックなPCであろうと型落ちのタブレットであろうと、正常に動作するのであれば試合結果に大きな影響は生まれない。

誰もが同じフィールドに立てる公平さと、「カードゲーム」でしか感じられないスリル溢れる運要素。心をヒリヒリさせるようなそのバランス感は、ゲーマーをDCGの世界に(そしてesportsシーンに)引き込む大きな理由のひとつと言えるだろう。

(C)2019 Wizards of the Coast LLC.

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