群馬県eスポーツ・新コンテンツ課はeスポーツで何を実現するのか?U19eスポーツ選手権を主催する群馬県担当者に聞いた。

2020.10.16

群馬県eスポーツ・新コンテンツ課はeスポーツで何を実現するのか?U19eスポーツ選手権を主催する群馬県担当者に聞いた。

eスポーツが注目を集め、これまでにない主催者による大会が行われるようになってきた。
2020年11月。群馬県主催による初めてのeスポーツ大会「U19eスポーツ選手権」が開催される。
プレイタイトルは、STAGE:0や全国高校eスポーツ選手権でも採用されている「League of Legend」。
2020年6月に誕生したばかりの話題のコンベンションセンター「Gメッセ群馬」で決勝戦が予定されている。
群馬県はどのような狙いで大会を開催するのか。eスポーツを使って何を実現しようとしているのか?
ご自身もPCでゲームをプレイされるという群馬県産業経済部 戦略セールス局 eスポーツ・新コンテンツ創出課 齋藤課長にお話を伺った。

――eスポーツ・新コンテンツ創出課はどのようなことに取り組んでいる部署ですか?
齋藤:ビデオゲームを使ってチームなどで対戦するeスポーツが、プレイヤーはもちろん、観戦する方も楽しく、特に若い世代への人気が高いこと、また、性別や年齢、身体能力の差が少なく、オンラインで遠隔地での交流が可能であることなど、大変に魅力的なコンテンツだと考えています。
そこで、群馬県では、eスポーツの魅力が持つ可能性を、「まちづくり」、「ひとづくり」、「しごとづくり」を進める地方創生や、地域ブランドの向上などに結び付けようと、今年4月「eスポーツ」を冠する新たな組織、「eスポーツ・新コンテンツ創出課」を創設し、eスポーツの推進に取り組んでいます。eスポーツを名乗る課は全国でも例がなく、群馬県の本気度がわかっていただけると思います。

――群馬県としてはeスポーツにどのように取り組んでいるのか、教えてください。
齋藤:群馬県ではeスポーツ推進の考え方として、「eスポーツ推進の土壌づくり」「大会・イベントの開催」「ゲーム依存対策」の3つの方向性を掲げています。

――eスポーツの土壌づくりとは?
齋藤:まず、eスポーツ推進の基本は、より多くの方が群馬県でeスポーツを楽しんでもらい、文化として定着できるような土壌作りだと考えています。eスポーツの魅力は、賑わいを生み、地域の活性化に大いに貢献してもらえると期待しているところですが、そのためには、プレイヤーや観客が楽しめる環境はもちろんですが、受け入れる側の理解も必要です。
こうしたことから、これまでに群馬県ではにぎわい創出事業や地域創生セミナーを開催し、目に見える形でeスポーツの可能性について体感できる機会を作ってきました。

地域創生セミナー

齋藤:また、eスポーツは子供たちにも大変人気がありますが、20歳代、30歳代を中心とした若手社会人にも大変に人気があります。こうした人たちの活躍の場として、企業対抗戦のようなステージが必要だと考えています。企業に声をかける前に、「隗より始めよ」の精神で、今年7月「群馬県庁eスポーツ部」を発足しました。

――県庁eスポーツ部ではどのような活動を行っていますか?
齋藤:県庁内では30名くらいが所属しており、月に2回ほど集まって、活動しています。
各自ぷよぷよやウイニングイレブンなどの腕を磨いており、今年の「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2020 KAGOSHIMA」にもエントリーする予定です。
群馬県庁eスポーツ部では、対戦相手を県内外問わず募集しています。群馬県庁eスポーツ部のツイッター( @gunma_p_esports )にぜひお声かけください。対戦の様子は、今年4月に群馬県庁32階に設置した、動画・放送スタジオのtsulunosから配信したいと考えています。

群馬県庁eスポーツ部 

群馬県庁tsulunos

――大会・イベントの開催とは?
齋藤:eスポーツ推進のためには、多くの人が楽しめる、大小様々な大会やイベントの開催が必要だと考えています。小規模であっても、県内各地でeスポーツの大会やイベントが頻繁に、継続的に開催されることにより、仕事が生まれ、賑わいが生まれると期待しています。また、これらが定着することにより、文化が生まれ、eスポーツカフェやeスポーツ専用施設など、新たな産業が芽生えると考えています。
一方、全国規模の大会・イベントが定期的に開催されることにより、県内産業の実力が向上し、産業振興への寄与が期待され、さらに、群馬がeスポーツ選手のあこがれの地となることで、群馬県のブランド力が向上すると考えています。

――ゲーム依存対策とは?
齋藤:eスポーツの推進と併せて、ゲーム依存にもしっかり取り組む必要があると考えており、健康福祉担当部局を中心に、教育、児童教育、消費生活などの関係部署とも連携し、ゲーム依存対策を進めているところです。
9月には、県の担当者の研修として、依存症に関する知見が豊富な専門家を講師に招いてたオンラインセミナーを開催しました。今後も、実態把握をはじめ、県民向けにゲーム依存の予防策を周知するなど、関係部局と連携しながらゲーム依存対策を進めてまいりたいと考えています。

――今回、なぜU19という年齢にこだわったのか、お考えをお聞かせください
齋藤:私たちは、eスポーツの特性は「ひとづくり」にも貢献する可能性があると考えています。この点において、米国教育現場ではeスポーツを活用したSTEM教育(※)などを、大学等の研究機関と連携しながらすでに導入がされており、群馬県でもこうした点に着目し、この秋には、北米教育eスポーツ連盟さんと連携し、eスポーツの人づくり面からの活用をテーマとしたカンファレンスを予定しており、この中でさらに議論を深めたい考えです。
せっかく県内で全国規模の大会を開催するのなら、子供たちの成長に役立つようなものにしたいという思いで、U19eスポーツ選手権を立案しました。
(※)STEM・・・Science, Technology, Engineering and Mathematics” すなわち科学・技術・工学・数学

――今回、実施タイトルをLeague of Legendを選ばれた理由は何がありますか?
齋藤:皆さんご承知の通り、このタイトルは5人対5人のチーム戦で、日頃から作戦・戦略を話し合い、試合ではチームがコミュニケーションをとりあいながら、それぞれのプレイヤーが自身の役割をしっかりと実践しなければ勝利できない、まさにチームスポーツと同じだと考えています。
私たちの主催する大会を通して、若者の、コミュニケーション能力、戦略的思考、論理的思考、勝利・目標に向かってやり抜く力、などを醸成してもらいたいと考えています。
さらに、PCゲームタイトルを採用することにより、若者がPCの構造やプログラムの興味に結び付き、ICT人材の育成につながることも期待しています。
当初は、eスポーツが若い人たちの成長に役立つと考え、高校生や中学生を対象とした大会を開催しようとしたのですが、eスポーツ部が設置されているような学校はまだ少数なので、学校対抗では出場機会が難しいと思われました。そこで、サッカーや野球などで開催されている、U19大会を参考として、本大会を企画立案しました。
日頃からチームを組んでいる仲間とチャレンジしてほしいと思います。出場年齢の考え方も、オリンピックのサッカーU19と同じ考え方としています。学校の枠にとらわれることなくチームを組んで参加してもらえたらと思います。

――今回のU19eスポーツ選手権の魅力を教えてください。
齋藤:優勝した選手たちには、ぜひ、世界を見てもらいたいと希望しています。そこで、本大会の優勝賞品を、League of Legend の聖地と言われている、韓国ソウル市にある「LOLパーク」へのご招待としました。本大会を通して、若者が世界に目を向け、さらに成長する糧になってもらえれば幸いです。
また、司会、実況、解説者には経験豊富な方に出演いただき、選手権を盛り上げてもらいます。予選では、実況をabara(@abaranche)さん、解説はRevol(@krevol)さん。決勝大会では、司会者にOooDa(@OooDa)さん、実況をeyes(@eyes1015)さん、解説はRevol(@krevol)さんに出演いただきます。また、英語による実況も行い、世界に向けて配信していきます。

司会:OooDaさん
予選実況:abaraさん
決勝実況:eyesさん
解説:Revolさん

――U19eスポーツ選手権の今後の展望について教えてください。
齋藤:U19のコンセプトのひとつは、学校の枠を超えた最強チームを目指してもらいたいというものです。まだまだ駆け出しではありますが、ゆくゆくは、サッカーや野球のU19チームがそうであるように、本大会も国際大会を視野に入れたいという夢があります。
決勝の地となるGメッセ群馬は今年6月にオープンしたばかりのピカピカの会場です。
ここをU19のメッカとし、全国の若者が、甲子園に行くぞ!花園に行くぞ!と同じ感覚で「Gメッセに行くぞ!」と言われるような、若者たちの憧れの場所になりたいと考えています。
ぜひ皆さん、決勝の地、Gメッセにて、U19最強の初代王者を目指してください!

Gメッセ群馬

――ありがとうございました。

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U19eスポーツ選手権の開催をきっかけに、県の様々な取り組みを巻き込んで、国際大会という大きな夢をもって取り組む群馬県。この大きな夢にぜひ期待したい。
第1回のエントリー締切は10/23(金)なので、まだまだ間に合う。
学校単位での参加でなくてもOKなので、勇気をだしてフレンドに声をかけて参加してみるのも面白いかもしれない。

最新情報はU19eスポーツ選手権公式ツイッター(@u19esports_jp)で随時更新されているので、フォローしてチェックしよう!

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