都政は「東京eスポーツフェスタ」でeスポーツとどう向き合うのか? 東京都産業労働局が見据える雇用創出・産業振興としてのeスポーツ

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都政は「東京eスポーツフェスタ」でeスポーツとどう向き合うのか? 東京都産業労働局が見据える雇用創出・産業振興としてのeスポーツ

2019.12.25

都政は「東京eスポーツフェスタ」でeスポーツとどう向き合うのか? 東京都産業労働局が見据える雇用創出・産業振興としてのeスポーツ

2020年1月11日~12日、東京ビッグサイト 南1ホールにて、eスポーツの魅力を発信するとともに、
関連産業の優れた製品や取り組みを広くPRする入場無料のイベント「東京eスポーツフェスタ」が開催される。
同イベントは国内最大級のeスポーツイベント「RAGE」が企画・運営を担っており、主催である実行委員会には東京都が名を連ねている。
都政がeスポーツ振興に取り組む経緯、そしてその展望とは? 
東京都産業労働局 商工部事業推進担当課長の川崎秀一氏に話をうかがった。

 

――「東京eスポーツフェスタ」を開催するにいたった経緯をお聞かせください。

川崎 eスポーツは、今後大きな成長が見込まれる産業だといわれています。ですが、「eスポーツの市場に対する明確な範囲」は定まっていないのも事実です。
今、国の方でもeスポーツ産業を活性化するための検討会が立ち上げられているのですが、まずは認知度を上げることが重要です。
認知度を上げることで競技者や観戦者が増え、競技者や観戦者が増えれば、そこに関連産業への需要、ビジネスチャンスが生まれます。
都として当局が関わる以上、関連する産業の振興を後押しできるイベントとなることを目的に取り組んでいます。

そのためには、eスポーツの楽しさだけではなく、関連産業の幅広さや、社会的な意義なども提示する必要があると考え、
関連する都内中小企業の展示スペースや、競技種目を含むタイトルの体験コーナー、有識者をお招きしてのトークセッションなども開催します。

――eスポーツという語の定義は難しいながらも、競技性だけにはこだわらない、と。

川崎 はい。私ども行政が携わる以上、IPホルダーの方たちが行ういわゆる「大会」とは差別化を図りたいと思っています。
あくまでも認知度向上、裾野の拡大を第一義に、普段eスポーツそのものにすら触れない方々も含め、幅広くアピールしているところです。

 

――直近では2019年5月にWHOが「ゲーム障害」を国際疾病分類に加え、国内でもゲーム依存に関する初の全国調査が行われるなど、
ゲームには負の側面も見られます。都政として、そうした一面はどのようにとらえておられますか。

川崎 そういう問題やイメージがあることは承知しておりますし、実際にお電話などで懸念するお声を直接頂戴することもございます。
会場の展示エリアの一角では、都の都民安全推進本部や福祉保健局の協力の下、若年者向けや依存症に関する相談事業の施策PRも行います。
産業振興を推進しつつ、懸念される課題に関する現状の取組についてもご紹介する――その両輪をしっかりお見せしたいと考えています。

 

――なるほど。話を戻させていただきますが、「eスポーツフェスタ」の展示エリアでは、ゲーム開発、周辺機器の製造・販売など、さまざまな企業が名を連ねています。

川崎 東京ゲームショウへの出展企業や、国内最大級のトレードショーである産業交流展への出展企業、都の支援策をご利用いただいている企業、eスポーツコースを有する学校などにお声がけさせていただくとともに、広く公募させていただき、
趣旨と目的、出展したときに見込まれる効果などをお話してご検討いただいた結果、幅広い出展を実現できました。

――企画・運営は「RAGE」が手がけていますが、どのような経緯で選定されたのでしょうか。

川崎 2019年の夏前にイベント運営事業者を決めるプロポーザル審査を行わせていただき、その中で、最も高い評価を得た事業者を選定することとなりました。
そのeスポーツへの深い知見を元に、業界団体ともご相談しながら競技大会やeスポーツ体験コーナーで取り扱うタイトルを選定し、そのうえでメーカー様にご協力、許諾をお願いいたしました。

その結果、eスポーツ体験コーナーでは3つの競技種目のほかに『ぷよぷよeスポーツ』、『eFootball ウイニングイレブン2020』、『ポケモン GO』などをお楽しみいただけます。

 

――eスポーツ産業の裾野を広げるということは、ゲームで遊ぶ人、ひいては将来のeスポーツ選手を増やすための取り組みにもつながる面があるかと思いますが、そうした取り組みなどは考えておられますか。

川崎 今後の課題の一つではあると考えていますが、産業労働局としてあくまでも関連する産業振興、例えば、eスポーツ関連企業の中には、eスポーツプレイヤーの活動を支援するような事業に取り組んでいる企業もあると聞いています。――すなわち中小企業の振興として取り組み、継続することで向き合えるものであろうと。
また
、身体のハンディキャップにとらわれず、さまざまな方が平等にゲームで競えるのがeスポーツのすばらしさの一つであるとも考えており、当日は作業療法士の田中栄一氏らをお招きして、「eスポーツにおけるダイバーシティの可能性」というトークセッションも行います。

 

――それでは最後にあらためて、東京eスポーツフェスタの見どころをお聞かせください。

川崎 まずは、メインステージで行われる『太鼓の達人 Nintendo Switch ば~じょん!』、『パズドラ』、『モンスターストライク』の決勝戦でしょうか。凄腕のプレイヤーたちによる、白熱の頂上決戦をお楽しみください。

展示スペースでは、ゲームソフトの開発、eスポーツでの使用を見越したバッグやチェアなどの関連商品、VR等の関連技術を展開している企業、イベント運営企業、学校など32事業者が出展しています。eスポーツ関連事業の幅広さを、ぜひ実感していただければと思います。

『ポケモン GO』では、初日の1月11日に事前エントリー方式の「ゲット&バトルトーナメント」を行うほか、当日参加可能なサイドイベントとしてその場に集まった4人がひと組となってトーナメントに参加するフライト式バトルも行います。お気軽にお越しください。

eスポーツ関連産業の振興は継続性が重要で、継続することで課題の発見や産業振興としての効果などが見込めるものと考えています。当局としては継続的に取り組んでいきたいと考えていますので、今後の取組に注目していただきたいと思います。


開催間近となり、先日も様々な発表があったばかりの東京eスポーツフェスタ。
関連企業展示会と競技大会が同じ場所で行われるというのも、面白い取り組みだ。
興味のある人はプレイする目的以外でも足を運んでみたら、また新しい発見があるかもしれない。

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