ゲームを通じて色々学べるフォートナイトアマチュアチームFPG
2023.07.24
昨今のゲームでは、個人によって作られたクランやチームといったコミュニティが多く存在し、
それらコミュニティによってゲームの盛り上がりが加速するといっても過言ではありません。
中にはそういったチームを経て最終的にesportsのプロになっていくプレイヤーもいるぐらい重要な役割を担っていると感じます。
今回はそんなコミュニティであるフォートナイトのアマチュアチーム「Fair Play Games(FPG)」を運営しているきなじろうさん、さーぶぅさん、おとなさんにインタビューをさせて頂きました。現在11歳~24歳のプレイヤーが24名所属するFPGの運営について伺いましたのでぜひご覧ください!
― 今回はゲームのチームを運営するということについてお伺いしたいのですが、まずそもそもどういったきっかけでチームを始めようと思ったのでしょうか?
きなじろう もともとフォートナイトのゲーム配信をやっていたのですが、そこへ遊びに来てくれていた子たちがチーム作ってくれたら入りたいと言ってくれていたのがまず最初のきっかけです。チームを作ったのが去年の3月なので1年半ぐらい経ちますね。以前野球のコーチをやっていたこともあって、野球と同じでゲームを通じて人としての成長を支援できたらなという想いで始めました。
ー なるほど。ゲームでプロを目指すというよりは、礼儀やコミュニケーションをゲームを通じて学ぶということですか?
きなじろう もちろんうちのチームのプレイヤーがチャンピオンアックス(公式大会優勝者に送られるゲーム内アイテム)を獲得できれば最高ですね。ただそれ以上に、マナーなどをゲームを通じて教えるようにはしています。フォートナイトはオンラインゲームなので、相手も人ですし、ゲームといえど人と接する機会が多いので、どういう行動をすれば相手が嫌がるか、どうすればスムーズに進むかなどを日々ウォッチして教えることに重点を置いています。
特に昨今SNSを若くから利用する方が増えているので、発信のやり方、いいねやリツイートをすることによってどういう影響があるかなどゲーム外での行動についても教えています。
ー SNSまでもですか!でも確かにゲームとSNSは最近は当然のように併用しますからね。
きなじろう そうですね。SNSで子供たちがどういった発言をしているかはもちろん把握していますし、発言内容やいいね・リツイートによってどういうことが起き得るかを想定しながら危ない内容は未然に防ぐように心がけています。
ー SNSは誰でも簡単に発信できる反面、全世界から見られるという危険性もありますもんね。そういったところまでケアしてもらえるのはお子さんを持つ親御さんとしては心強いですね。教えるのが難しいマナーやSNS活用を教われるというのは非常に魅力的ですが、フォートナイトでそれを教えようと思ったのはやはり皆さん元々ゲーマーだったからということですか?
さーぶぅ 私もきなじろうがやっているのを見ていて面白そうだなと思って、品薄だったswitchをようやく手に入れて始めてみたらめちゃくちゃハマったのがきっかけでした。でもその前はゲームはマリオパーティとかライトなものしかやったことがなかったです。
おとな 僕は子供がフォートナイトに熱中していて、止めさせるにも応援するにもまずは自分が理解しないといけないなと思って始めました。そしたら面白くて子供が熱中していることを理解できたという感じです。
ー なるほど。お子さんが熱中していると親としては心配にもなりますもんね。でもそれを頭ごなしに否定するのではなく、実際にやってみて理解したうえで応援しているということですね。
おとな 結構ゲームに熱中し過ぎる事や仲間外れが起きていることについて、注意喚起のチラシとかが配られたりしていて、どちらかというと良くない方にフォーカスされていることが多かったので、自分で確かめてみたいというのがきっかけですね。
― 確かに親としては子供のことが心配になるのも分かりますもんね。ただ、正しく向き合えばリアルスポーツのように得るものも多いですもんね。
― 続いてお聞きしたいのですが、チームとしての活動はどういった感じで行われているのでしょうか?
きなじろう はい、まずは毎週月曜日と木曜日19時からメンバーで集まって練習会とチームを組んでのスクワッド(試合形式の実戦練習)を行っています。これらが定期練習日でその他の曜日も集まれる子たちで集まって日々練習をしている感じです。それ以外では、クリスマスなどの時にはちょっとしたイベント会を開いています。
― まさにリアルスポーツの部活動といった感じですね。後、結構色んなチームで報酬をプレイヤーたちにあげたりすることもあると伺ったことがあるのですが、その辺りはFPGさんはどうされているのでしょう?
きなじろう 報酬はうちも出しています。スポンサーさんがいるわけではないので少額にはなりますが、各選手が頑張ったらその頑張りに対する対価として報酬をあげるようにしています。これは、試合に勝った時とかそういう場面だけではなく、練習に励んでいるだとか、チームと積極的に上手くコミュニケーションをとったなどいろんな意味での頑張りに対して差し上げるようにしています。やっぱりこういったご褒美があることでモチベーションアップにも繋がると考えています。
― 公式大会で勝つと賞金が出たりチームによっても活躍したら報酬というのは良く聞きますが、それだけではなく色んな角度での頑張りに対してということですね。
きなじろう そうですね。やっぱり選手の中には凄く頑張っているのに結果が付いてこないという子もいますし、そういった子たちにも結果だけじゃなくて過程の部分を評価してあげたいなって。うちの報酬の基準は金額は少ないかもしれないけど、できるだけ満遍なくあげたいという想いでやっています。
― 勝った時は喜ぶのは当然ですが、そうでないところでも喜べるポイントを作ることで、ゲームの実力だけでなく良い行動をするモチベーションにも繋がっていきそうですね。
きなじろう たまに耳にするのが、貰える子と貰えない子の差がどうしても実力で出てしまって、それももちろん方針として有りだと思うのですが、うちとしては結果以上にそこに辿り着くまでの努力を評価してあげたいなって思っています。
やっぱりプロになれる確率は決して高くない厳しいものだと思うんです。だからこれだけ時間を費やしているゲームを通じて実力以外にも礼儀だったり、協調性だったり、今後社会に出た時にゲームを通じて学べたことを活かせるようにもしておきたいんですよね。単にゲームをやってたという時間にはしたくないんですよね。
― 深いですね。確かにスポーツと一緒でプロへの道は狭き門ですが、なれなかったとしても必ずそこで得るものがありますもんね。でも性格や年齢も違う子たちが集まっている環境だと運営していく難しさとかもあるのではないでしょうか?
きなじろう 試合での態度やSNSでの発言、金銭のやり取りといったことは入団面接の際に予めルール化している事をしっかりと親御さんとお子さん双方にお伝えしたうえで入って頂いています。それもあって有難いことにそこまでの大変さはありません。たまに試合のルールを破っている子がいますとか、死体撃ちをしている子がいますといった報告があるのでリプレイ映像を見るとわざとではないと分かるので、それを伝えて理解させたりぐらいですかね?
― それは素晴らしいですね。先ほども仰っていたゲーム外でのSNSの教育までされているということで親御さんとしても安心できますね。ゲーム内でも死体撃ちなどの煽り行為は禁止とされたり管理をしっかりやられている訳ですしね。
おとな やはり環境作りが大事だと思います。死体撃ちがかっこいいと思われる環境と、それは恥ずかしい行為と思われる環境でプレイするのでは、プレイヤーたちのそういった行為に対する認識が変わってきますからね。
― 確かにプレイする環境で人は変わりますよね。そういった環境を作って維持するためにも管理がやはり大変ではあったりしますかね?
きなじろう 確かに管理は大変といえば大変かもしれません。チームの活動以外にもSNSのチェックなども日々行っていますので、物理的な時間はどうしてもかかってしまいます。なので、チームの規模も今のところどんどん大きくという風
には考えていないんですよね。僕の性格的にも出来るだけ全ての子たちに目が届く状態でありたいので。
― なるほど。そこまでするにはどうしても見れる範囲の限界がありますもんね。逆にやり甲斐を感じる瞬間はどんな時ですか?
きなじろう やっぱりメンバーが以前FNCS(フォートナイト公式最高峰の大会)アジアグランドファイナルに進出した瞬間はめちゃくちゃ嬉しかったです。
おとな あの時は感動しましたね。
さーぶぅ 泣いたね(笑)
きなじろう 後は戦績とは違うところで、入ってきた当初は言葉遣いや言動がちょっと悪い子がいたのですが、その子に対してそういった言動を直すように注意したり話し合いを度々していました。その子の態度が最終的にガラッと変わってあの時色々と注意してくれてありがとうと言われた時はメンバーが試合で勝った時と同じぐらい嬉しかったですね。この時は本当にこの活動をやっててよかったなーって思いました。
さーぶぅ 後、フォートナイトを辞めることになった子の中に何人か、最後に所属していたチームがFPGで良かったですと言ってもらえた時はうるっときましたね。
― それは本当に素晴らしいですね。どちらの場合もやはり人の成長する姿を見れるというのは心に響きますよね。良いお話をありがとうございます。
― 最後にFPGとしてのゴールとは何でしょうか?
おとな やっぱチャンピオンアックスじゃないですか?(笑)
きなじろう ですね。やっぱりチャンピオンアックスをチームで取ってアジアトップになりたいというのはありますね。
おとな 結構メンバーに言うことがあるのですが、”目標”は大会で優勝することですが、”目的”は世の中で通用する人格形成・人間育成、人としての成長だと。そのきなじろうさんとさーぶぅさんが目指す方針が僕としても凄く共感で来ているので、運営として関わらせて頂いてます。
― そうですよね。ゲームといえど立派な競技と言えるフォートナイトですし、FPGでプレイすることによって意図を示してあげることで良い経験、成長に繋がると思いました。
― 今日は幅広く裏側を教えて頂きありがとうございました。家族のような温かい環境で、ゲームに真剣に取り組みながら人としての成長を目指すFPGのチームカラーが良く理解できました。本日は有難うございました!
FPG ありがとうございました!
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甥の勧めでフォートナイトと出会いその楽しさに魅了され、YouTube(きなじろうちゃんねる)を立ち上げる。
そこで出会った方々を通じて競技に関心を持ち、自らも公式大会に参加するようになる。
競技の選手と付き合っていく中で言葉遣いやマナーなどについて疑問を抱くようになる。
自らチームを設立し技術だけではなく、1人の人間として成長出来る場を設けたいと思いFPG(Fair Play Games)を設立。
現在は選手達にSNSの使用方法の指導や言葉遣いなどのマナー、精神面でのサポート、練習をする場所の提供を中心にチームを運営
Twitter:https://twitter.com/fpgesports2022